趣味の写真とのんきなお喋り
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■この機会に弟のことを書いておきたい。

このブログは私の「趣味の写真とのんきなお喋り」について書く場なので、これまで家族のことは書いたことがなかつた。
母はもう39年前に亡くなつてゐるので、書くべき話がない。
父は、3年前に17年間の介護生活の果てに亡くなつたが、92歳で亡くなつたこともあり、充分に大往生ではないかと思つてゐたため、このことも特に書かなかつた。
しかし、弟のことは、といふよりも今日のことは、今日のうちに書き留めておきたいと思つた。

私の弟・毅(たかし)は2017年5月18日に47歳で亡くなつた。
私にとつては、たつた一人の家族だつた。たつた一人の年下の家族を失ふといふことが、こんなにもつらいことだとは思はなかつた。彼の死を知らされた5月19日は私にとつて人生最悪の日となつた。今後、これ以上つらいことは、たぶんもう無い。

それから一か月。毅が俳優だつたこともあり、かつて所属してゐた劇団、東京ヴォードヴィルショーの皆さんが、今日6月18日に「能見達也を偲ぶ会」を開いてくださつた。場所は下北沢ザ・スズナリ。いま、「あほんだらすけ 29」が公演中だ。毅=能見達也も「あほんだらすけ」には何度も出演してゐる。

その「偲ぶ会」のことを書く。
とてもいい会だつた。とても良い供養になつたと思ふ。行く前は、また泣き出したらどうしようかと気にならなくもなかつたのだが(死後十日ほどは思ひ出すたびに泣いてゐた)、その点は大丈夫だつた。冒頭の黙禱一分間に少し涙が出かけたが、会の間は大丈夫だつた。

さう、今日の会は滅茶滅茶面白かつた。達也の出演した「あほんだらすけ」旧作からの抜粋のビデオ上映会、山口良一さん、大森ヒロシさん、たかはし等さん、まいど豊さんの「思ひ出トーク」、会場の達也に縁のある方たちへのインタビュー、そして、能見達也の歌声披露。
私は彼とカラオケに行つたことはなかつたが、あまりうまくはなからうなとは思つたものの(私だつて歌は苦手だ)、予想を軽く上回る下手さであつた!
本人は一生懸命なのだらうけれど、いや一生懸命だからこその可笑しさ。
ビデオも可笑しかつたし、トークもインタビューも可笑しかつたし、歌は最高の下手さだつた。あの「SAY YES」は最高だ!

何人もの人が毅=達也を偲び、「真面目」と言つてくれた。さう、彼は真面目だつた。でも、それは、もしかしたら小心者ゆゑの振舞ひだつたかもしれない。そんな発言もあつたけれど、兄としてそれは肯へるものだ。

真面目で、芝居に真剣で、でもはたから見ると妙に可笑しくて、また楽しくて憎めなくて、そして私には可愛い弟だつた。47にもなつて「可愛い」は似合はないかも知れないが、彼が亡くなつてから改めて幼稚園の頃からの写真を振り返つて見てみると、やはり兄の目には「可愛い弟」が見えてきてしまふ。

こんなことがあつた。これは父から聞いたのだが、私が小5の頃、小学校の移動教室で泊りがけで日光に行つた日、毅は夜、私の勉強机に向かつて椅子に腰かけ、私の写真を見ながらぽつりと「お兄ちやん、早く帰つて来ないかな」と言つたのださうだ。
これは、だから兄弟喧嘩はやめなさいと私を諫める父の言葉の中にあつたのだが、ことの細部はともかく、今でも忘れられない話の一つだ。

また、こんなことがあつた。毅が中学生のころ、私のステレオに私のヘッドフォンを刺して何か音楽を聴いてゐる。私のカセットテープだ。そして、規則正しく頭を振りながら、音楽を聴いてると勉強がはかどるんだ、なんてことを言ふ。何を聴いてゐるのかと思つたら、ストラヴィンスキイの「春の祭典」。なぜこの曲で規則正しくリズムがとれるのか、そして、当時の最先端のノイズリダクションを(きつと知らなかつたんだらう)オフにしたままにして、つまり相当歪んだままの音で聴いてゐて、それで何の違和感も覚えなかつたのだらうかと、ちよつと呆れたことがあつた。私のステレオを勝手に使つたことを怒る前に、私は可笑しくて仕方なかつた(だから、まあ、彼が歌が下手なのは、うん、仕方がない)。

こんなこともあつた。すでに何度もテレビ・舞台を経験したあとに、兄弟二人で焼肉屋に行つた時のことだ(言はずもがなだが、肉もビールも支払つたのは私だ)。当時、三内丸山遺跡(青森県)の発掘が縄文時代に関するいくつもの定説を覆し大きな話題となつてゐて、さういふ話の好きな私が、県の内陸部で魚の骨が見つかつたことにより、当時の海岸線が今よりも相当内陸よりだつたことや縄文人の食生活やらが分かるのだ、のやうな話をした直後、彼は真顔で
「わかんないよお、お兄ちやん。縄文時代に魚の骨を集めるのが趣味なやつがゐて、たまたまそいつのコレクションがいま発掘されてしまひ、それで学者が勘違ひしてゐるだけかも知れないよお」
と言つてのけたのである。
可笑しかつた。と同時に、彼の頭の回転の速さに舌を巻いた。そして、かういふ話を作り、披露し、笑ひ合ひ、またみんなでかういふ話を、真剣に面白がることの出来る、当時の彼がゐた環境を、ちよつとだけ羨ましくも思つた。

今日の6月18日、そんな彼が身を置いた世界の先輩・友人たちが、彼のために、彼の死を惜しんで、楽しくて可笑しくて、笑ひつぱなしの偲ぶ会を開いて下さつた。ファンの方がスズナリの客席をほとんど埋めるほどに来て下さつた。私は嬉しかつた。感謝の気持ちでいつぱいだつた。

どうだ毅、「能見達也」はこんなに愛されてゐるんだぞ。喜べ。お前を愛するみんなの気持ちが分かつたら、今すぐここに戻つて来て、皆さんに礼を言へ。でも、それが出来ないなら、もう、とつとと寝ろ、安らかに眠れ。酒と煙草は控へろ。いつか私たちもそちらに行くが、それまでは少し体をいたはつておけ。そして、私たちを彼方から見守りながら、朗らかに笑つてゐておくれ。
みんなお前の笑顔が大好きなんだから。







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NOMi Koichi
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誕生日:
1965/07/09
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写真、音楽、文学
自己紹介:
Koichi NOMi と申します
東京在住の写真好きです

女の子ポートレイトを中心に
街やらライブやら
色んなものを写して
表現して楽しんでゐます
皆さま
どうぞよろしくお願ひ致します
(*^▽^*)/

フランスの写真家
ギイ・ブルダンが大好きです
(Guy Bourdin, 1928-1991)
Guy Bourdin: A fetish for fashion
明快な細部と曖昧な物語性
大胆な構図と緻密な状況設定
そして色
どこをとつても素晴しい!

私も
どうせ写真を撮るなら
彼のやうな作品が撮りたいな
とは思ふのですが
ちよつと道のりは遠いかな
(苦笑)

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