趣味の写真とのんきなお喋り
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あなたは写真撮影会社の新入社員、新人のカメラマンである。
上司から以下の内容で撮影に行けとの指示が出た場合、どのやうなレンズを携行するのが最も適切か。よく考へて答へよ。

問1:お見合写真。ただし、屋外で撮影することとし、自然な表情を活かした写真としたい。クライアントはバストアップと全身写真の少なくとも2種を要求してゐる。なほ、携行可能なレンズは1本とする。

問2:レストランのメニュー用の写真。ファッション誌用でもグルメ誌用でもなく、店内で用ゐるごくありふれたメニューに添へる写真である。なほ、携行するレンズは1本に限る。

問3:海外旅行のガイドブック作成のための写真。必要な写真は、ホテルの部屋、窓からの眺め、市街の様子、有名な観光地(山と海岸)、人気のレストラン(店内と外観)等である。なほ、海外出張のためカメラボディは2台携行できるものとする。また、レンズ以外の装備も考へること。

以上、写真の学校における実際の口頭試験から。

問1の答:焦点距離80mm(35mmサイズ換算。以下同)前後の中望遠単焦点レンズ。F値は1.4以下。
(解説)撮影の際はF値は2から2.8くらゐが良い。人物を背景に対し際立たせるためには、背景をぼかしてしまふ必要がある。そのための大きなボケの得られるF値を持ち、かつ被写体を歪ませることなく撮れるレンズが良い。

問2の答:焦点距離50mm程度の標準単焦点レンズ。F値は1.4。
(解説)料理を歪むことなく撮影でき、かつ適度な撮影作業距離(被写体の料理からレンズまでの距離)が確保できるレンズが良い。なほこの場合、被写体は平置きされ、カメラとレンズは被写体を上から見下ろして(場合によつては真上から俯瞰して)撮影しなければならないが、50mm以上の焦点距離では被写体とカメラとの距離が開きすぎてしまひ、使用が現実的ではなくなる。

問3の答:焦点距離24mm前後から100mm前後までの高倍率ズーム1本とその予備。クリップオンストロボは場合によつては必要かも知れないが、三脚は使はない。
(解説)海外出張であれば、まづ考へるべきは装備を軽くするといふことである。したがつて、国内での通常業務では避けられるズームレンズをここではあへて使ひ、装備の重量を軽くする。またガイドブック等であれば掲載される写真の大きさが大したものではないため、厳密な合焦精度が要求される訳ではない。したがつて三脚も必要ない。

※※※

今日は写真の学校・東京写真学園「レベルアップ・フォトレッスン 2月期」の最終授業があつた。
上の問はその最後の授業の中で実際に訊かれたものである。

お気づきの通り、問の前提といひ、その模範解答といひ、写真撮影に関する発想が徹頭徹尾、商業撮影向きなのである。趣味の写真教室とはここが決定的に違つてゐて、「よい写真を撮る」ことと同時に(場合によつては、それ以上に)「ビジネスとしての写真撮影」を成立させることが重視される。

そのためにはまづスタジオ撮影に通じてゐなければならないとの趣旨で、モデル撮影会(実習授業)も行はれた。
だから、写真の仕上がりがセクシーかどうかなんて、ほとんど出て来ない。反対に講評会で出て来たのは、寄りと引きとバランスよく撮らないとクライアントからの要求に答へられないといふことが起こるから、色々なバリエーションを撮つておかなければならない、といふものであつた。

モノクロ・プリントの仕上げに関しても同様で、私の提出した、露光時間を短縮してフィルターを弱めにかけた写真に対しては、印刷に不向きであるといふ評価が真つ先に下されたのであつた。

しかし、さすがにこのT-T.N、今さら転職する気は毛頭ない。プロ・カメラマンの多くは国民年金だらうが、しかしこのトシで厚生年金を放棄する勇気は、少なくとも私には無い。

冗談はともかく、商業撮影・イコール・プロの現場といふ前提のもとに進む週1回の授業は、だから非常に実践的で実際的で、そして趣味としての写真撮影の範疇を大きくはみ出すものであつた。お蔭で私はジェネレータ・タイプの大型ストロボの使用法も一通り身につけたのだが、実習で使つたその機材は1台70万円もするシロモノ。これを4台も5台も使つて撮影の練習をしたのである。いくら趣味が嵩じても350万円もかけて花束を撮影したりはしないだらう。

だからこそ、非常に面白かつた。この機会を逃してはまづ体験できないことが次から次へとあつて、面白くてたまらなかつた。
これが全10回の授業で7万円だなんて、安い。ただみたいなものだ。

そこで私は、次のステップの講座も受講することにしてゐる。1週間の休みをおいて、再来週から新たに「クリエイティブ・フォトレッスン」の授業が始まる。幸ひに講座は勤務先の週休日に開かれる。仕事がどんなに忙しくならうとも、また首からカメラをぶら提げて私は嬉々として渋谷駅東口を歩くだらう。
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無題
プロなんか考えたことも無いです(^^ゞ
プロさんって大変だもの^^;
カプチ URL 2008/04/10(Thu)07:34:29 編集
Re:無題
どんなに腕が良くても確かにプロは大変ですよね。
きつと私だと、
・男はイヤだ。
・煙草も写したくない。のみならず、私の周囲は完全禁煙。
・酒もイヤだ。
といふ不具合に、クライアントの要求をことごとく蹴つ飛ばしてしまひさうで、売上げガタ落ちでせう。商売で写真を撮ることは、私には出来ません。

でも、技術は欲しい。^^

それにしても、プロの世界は本当にズーム・レンズを嫌ひますね~。
そして、基本は単焦点だと皆さん口を揃へて言ふ。
なるほどなあとは思ふものの、
オリンパス(フォーサーズ)には、ニコンやキヤノンとは異なり、
大口径単焦点レンズがあまりないので、
やはりプロ(業務)向きではないのかなあと、
少しさみしい思ひをしました。ははは。
【2008/04/11 03:30】
0点
この問題私なら0点です(笑)。玄人はだしの趣味って素晴らしいですね。
きじねこ 2008/04/10(Thu)23:44:22 編集
Re:0点
実は私、3問目で間違へました。(^_^;)
室内は広角レンズで、街中は標準レンズで、観光名所では望遠レンズでといふ風に使ひ分け……と答へたら、そんなに重くちや仕事にならないと言はれてバツでした。
三脚も……と言つたら、仕上がりの大きさを考へれば不要であると、これまた却下でした。
商業写真の考へ方にかなつてゐなかつたといふ訳です。

考へてみればプロは「写真そのもの」ではなく、「○○のための写真」を撮るケースが圧倒的に多いのですね。ですから、撮影の前に「○○」とは何ぞやといふことと、「○○」に必要とされる写真とはどういふものかといふ点を、よくよく考へなければならないわけです。
写真雑誌やカメラ雑誌で作品を発表してゐる著名写真家とその作品ばかりがプロの形態ではないし、むしろそれ以外の形態のプロの方が多い、いや、ほとんどでせう。

アマチュアの方が、機材にしても仕上がりにしても最上等のものを追究できて(面白いことに業務用のカメラなんて存在しない。高いか安いかだけで、プロもアマも主な機材に関しては条件に差が無い)、常に作品作りに専念出来るといふ点では幸せだなと、僭越ながら思ひました(思つたといつても、少しだけネ)。

でも、プロの技術は欲しいですね。^^
【2008/04/11 03:25】
無題
教えて下さい。
答え見てて思ったのですが、サイズってDXですか、FXですか?
よろしくお願いします。
華が好きぃ♪ URL 2008/04/11(Fri)04:23:07 編集
Re:無題
どうもこんばんは。^^
焦点距離は全部(ニコン流に言へば)FXです。
つまり、フルサイズですね。

写真の学校は、受講生の9割がデジタルカメラで撮影してゐるのに、カメラの基本は全部(←ぜんぶ、ですから!)フィルム・カメラを基準に話すんです。
ですので、焦点距離はフルサイズでのものになります。
デジタルカメラ使用者は頭の中でいちいち計算する必要があるのです。
商用撮影ではまだまだ中判や大判で撮影することがあるので、フィルムカメラに関する知識と知恵と実践が最優先されるのです。
(次に私が受講する講座では、中判カメラを使つてスタジオ・ライティングを学びます。使用するカメラはMamiya RZ67なんですよ~!)
【2008/04/11 04:35】
無題
答えを見る前に...
1.ZD35-100mmF2
2.ZD14-35mmF2 もしくは ZD14-54mmF2.8-3.5
3.ZD11-22mmF2.8-3.5&ZD40-150mmF4-5.6
なんて思った私は完全素人なZDファンですね(笑)

写真教室、自分の目指したいスタイルと全然違っても、いや、違うからこそ確かに面白そうですね。
mosyupa 2008/04/11(Fri)20:02:10 編集
Re:無題
そのZDレンズの選択に間違ひはないでせう。^^

ただし、写真の学校はキヤノン・ニコン・ライカ偏重で、オリンパスのレンズについては知らない人が多いので、「ズームはダメ」となつちやふでせうね、きつと。
キヤノンの単焦点Lレンズでも、ZD35-100mmF2にはなかなか勝てないと思ふけれどなあ。

でもまさに、違ふからこそ面白いの連続です。
何せプロ用の本格的なスタジオで実習ですからね!
→ http://www.shoto.co.jp/index.html
楽しい思ひをいつぱいしました。^^
【2008/04/12 04:12】
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HN:
NOMi Koichi
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性別:
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誕生日:
1965/07/09
趣味:
写真、音楽、文学
自己紹介:
Koichi NOMi と申します
東京在住の写真好きです

女の子ポートレイトを中心に
街やらライブやら
色んなものを写して
表現して楽しんでゐます
皆さま
どうぞよろしくお願ひ致します
(*^▽^*)/

フランスの写真家
ギイ・ブルダンが大好きです
(Guy Bourdin, 1928-1991)
Guy Bourdin: A fetish for fashion
明快な細部と曖昧な物語性
大胆な構図と緻密な状況設定
そして色
どこをとつても素晴しい!

私も
どうせ写真を撮るなら
彼のやうな作品が撮りたいな
とは思ふのですが
ちよつと道のりは遠いかな
(苦笑)

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