趣味の写真とのんきなお喋り
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ナボコフの「Pale Fire」は傑作中の傑作だと思ふ。

この長篇小説は、
ジョン・フランシス・シェイドの書いた「Pale Fire」といふ長い詩への
チャールズ・キンボート博士による
序文と詩本篇と膨大な注釈と索引といふ
四つのパートからなる。
つまり学術論文のパロディといふ体裁をとつてゐるわけだ。

かういふ遊びの部分は本作の場合、非常に重要なのだけれど、
現在からうじて入手できる邦訳は、
どうやら「索引は索引」といふ程度の認識しかなかつたやうで、
これは「小説」の一部なのだといふ大前提を忘れてしまつてゐる。

私に言はせれば、筑摩書房の邦訳はずいぶん困つたものだ。
原書では索引はABC順なのに、それを日本語訳だからと
五十音順に訳してしまつた時点で、
「小説の一部としての索引」といふナボコフの粋な仕掛けが
崩壊してしまつた。
ABC順だからこそ、Zで始まる楽園の名が作品の最終ページに
置かれて、余韻を残した幕引きとなるといふのに。

残念だけれど、しかしこれは、
「言葉遊び」「パロディ」「パスティーシュ」等を
軽んじてきた近現代日本文学(と研究者)の実情の
たぶん、不幸ながらも正確な反映なのだらう。

ただ、ナボコフのもうひとつの傑作、
題名だけは誰もが知る「ロリータ」には
瞠目すべき新訳が存在する。
これは旧訳がお話にならないものだつただけに、
素直に歓迎しておきたい。
コメントはお気軽にどうぞ。
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無題
んー駐輪場からなんの話しかと思いきや・・・
む、むずかしい。
けど、翻訳って大事ですよね~
順番が違うなんてのはアリなんですか?
外国文学は訳の良しあしでおもしろみも本人が伝えたいことも
半減してしまいそうですね。
「カラマーゾフの兄弟」とかバリバリ読める人になりたい・・・(^_^;)
イナ URL 2010/10/14(Thu)07:12:32 編集
Re:無題
こんばんは。^^

いやあ、コムヅカシイ話ですが、でも、この種の話の方が私には親しいんです。
(も~、カメラの話はとんと分らなくて。笑)

さて、この小説の場合は順番を変へるしかなかつたでせう。
なんせ、「索引」を五十音順に訳すと決めたのですから。
詩の中の重要語に主人公が「偏愛」としか言ひやうのない語釈・注釈を書き、その語の位置とかんたんな意味用例を巻末に付した、と、さういふ設定の「章」なのですが、当然、和訳に付する注釈であるわけですから、日本語を注釈の見出しにせざるを得ないわけです。

それでもよいとは思ふのですが(なんせ体裁が注釈と索引ですから)、しかし、そのやうに日本語の便を考へる(といふか日本語といふ表面的な部分に拘泥してしまふと)、主人公の妄想の中の理想郷「ゼンブラ Zembra」が文字通り最後のページに来るといふ作者の仕掛けが死んでしまふのです。

これが私には勿体無いのですね。

亡き詩人へ寄せる主人公の一方的な狂つた愛情は(読んでゆくうちにキンボートの注釈はすべてでたらめで、本人はほとんど狂つてゐるといふことが、ゆつくりと分つてきます。この狂気のあきらかになる過程はほとんど神業!)、まあ、はつきり言つちやあブキミなんですが、ブキミはあつても、一途なんですよね。その一途さにそそぐほんのひとしずくの抒情が、「ゼンブラ」といふ語句が巻末に置かれるところにあると私は睨んでゐます。

ナボコフは従来の翻訳がほんとにお粗末だつたので、自分の語学力を省みずに原書で読んだのですが、「Pale fire」は今でも原書で読むにしくはないと思つてゐます。

あ、さうだ。
「カラマーゾフの兄弟」を読むのであれば、新潮文庫がいいです!
んで、ベストセラーになつた光文社文庫、あれはダメダメです!
【2010/10/15 01:53】
無題
不思議な空間と空気だ
rikiji URL 2010/10/14(Thu)10:16:44 編集
Re:無題
はい、西日暮里駅前の駐輪場の自転車のスポークに注目しました。
らせん階段もさうですが、同心円状のもの、渦巻状のものに惹かれるやうです。

たぶん、空気は入つてゐる方だと思ひます(違!)。
【2010/10/15 01:55】
幾何学模様
ありふれた日常の中に、こういう幾何学模様を見つけるのが
本当にうまいですね~すごい!

恥ずかしながらナボコフって知りませんでした(汗)。ウィ
キペディアによると、小説を書く以外にも、ロシア語→英語、
英語→ロシア語の両方の翻訳もしているのですね。短編集でも
買って読んでみようっと。
きじねこ 2010/10/14(Thu)23:01:37 編集
Re:幾何学模様
こんばんは。
ナボコフ、読むなら「ロリータ」にとどめをさします!!
やはり「ロリータ」がいちばんです!!

もちろん、新潮文庫の若島正訳で!!!

なほ、ナボコフに言はせると、ドストエフスキイは読む価値の乏しい二流の作家、なんださうです(彼はそのやうに大学でご講義なさいました。笑)。

ナボコフの翻訳(露から英へ)したプーシキンの「オネーギン」はすごいですよ。アメリカ中の翻訳者を敵に回したやうな出来ですから。
文章は最高!
意訳も最高!(笑)
でも注釈は本格的です。

写真への言葉、有難うございます。嬉しいです。(^.^)
【2010/10/15 02:03】
無題
うは!
見慣れている駐輪場なハズなのに、なぜか不思議で面白い写真です!
のりまき URL 2010/10/15(Fri)00:00:57 編集
Re:無題
こんばんは。^^
有難うございます!
ちよつとした異化効果を狙ひました。コントラストも彩度も結構、強調してゐるので、ヘンな立体感があると思ひます。
しかも立体駐輪場なので、車輪が目よりも高い位置にあるので、違和感ありまくりです。
だもんだから、私はここに入つて行つて、とつても面白く感じました。^^
【2010/10/15 02:05】
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支配人プロフィール
HN:
NOMi Koichi
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1965/07/09
趣味:
写真、音楽、文学
自己紹介:
Koichi NOMi と申します
東京在住の写真好きです

女の子ポートレイトを中心に
街やらライブやら
色んなものを写して
表現して楽しんでゐます
皆さま
どうぞよろしくお願ひ致します
(*^▽^*)/

フランスの写真家
ギイ・ブルダンが大好きです
(Guy Bourdin, 1928-1991)
Guy Bourdin: A fetish for fashion
明快な細部と曖昧な物語性
大胆な構図と緻密な状況設定
そして色
どこをとつても素晴しい!

私も
どうせ写真を撮るなら
彼のやうな作品が撮りたいな
とは思ふのですが
ちよつと道のりは遠いかな
(苦笑)

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