趣味の写真とのんきなお喋り
[274]  [273]  [272]  [271]  [270]  [269]  [268]  [267]  [266]  [265]  [264
平成21(2009)年3月21日午後3時ごろ。
東京神田小川町。

そのカメラメーカーのギャラリーではある写真関連の専門学校の卒業制作展が開かれてゐた。カメラを持つてアジア各国をのべで半年以上も旅し、自分でテーマを見つけて写真で表現したもの、ださうだ。

会場に入れば、たぶん中国内陸部の人々を写した大きなポートレートや、性の格差もしくは性差別にも負けずに社会の第一線で活躍する女性たちの姿を追つた写真や、急な開発でバランスを失ひつつあるアジア各地の景観をパノラマ風に並べたものなど、意欲的な作品が目に映る。

彼らの使ふ「アジア」といふ言葉は、どうもオリエンタリズム(むろんサイードの術語)から免れてはゐないやうだし(一部の撮影者は恐らくさういふ問題に対して無自覚だ)、働く女性の肖像も広大な建築現場も、いづれもかなり強い既視感を覚えずにはゐられないし、また「砂上の楼閣」の「楼閣」には高層建築物といふ意味があるから、自然景観に対して使ふのはをかしい、といふ具合に気になるところは多くある。

ただ、われわれの世代にだつて「小春日和」を「早春」の意味で使つてしまふ者がゐるのだから、揚げ足取りめいたことは慎まう。まだ若い写真作家たちの社会への第一歩を、われわれの世代は見守つてやるべきだらう。

だが、冒頭に記した日時にギャラリー内で、写真の真ん前に立ちはだかつて、ずうつと傍若無人に私語を続けてゐた3人の女子学生には猛省を促したい。

3人のうち2人は、どうやらこの専門学校の学生ではないやうなのだが、一人は私が入場した時に受付にゐた学生である。といふことは、この専門学校の学生であるのみならず、この写真展の関係者でもあるのだらう。もしかしたら撮影者の一人なのかも知れない。それは分らない。

しかし、この会場の写真と何らかのかたちで関係がある点だけは疑ひがない。

だとすると、彼女たちの行為は、自分たちの(友の、先輩の、後輩の)写真を人に(私及び数人の入場者に)自ら見せまいとしてゐたことと同じになる。これはどういふことを意味するか。

彼女たちが今後、写真のどの分野に進むのかは知らないし、分らない。しかし、広告系であれ、報道関連であれ、藝術分野であれ、写真は人に見てもらつてなんぼのものだらう。そして、そんなことは写真の学校で数年間を過ごした彼女たちの方がわれわれ素人よりも深く承知してゐるべきことだらう。だが、いかなる分野の写真であれ、人に見てもらはなければ、伝へたい思ひもテーマも何も伝はらないし、それどころか、写真で生活してゆくことさへ困難になるだらう。

にも拘らず、彼女たちは自らギャラリーで写真鑑賞の妨害者となつた。恐らくは自分に関る写真の鑑賞の、だ。どこかの他人が撮つた写真に対してではなく、自分も深く関る写真を人が見ることを妨害した。だから私に注意された。そして私は気分を害し、早々に会場をあとにした。

写真の存在理由そのものを全否定するかのごとき軽率な振舞は、写真の専門学校の卒業生にとつてはなほさら文字通りの自殺行為にあたるといふことに、出来れば早めに気がついてほしいものだ。
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
開設:07年12月05日
05 2017/06 07
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
19 20 21 23 24
25 26 27 28 29 30
支配人プロフィール
HN:
NOMi Koichi
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1965/07/09
趣味:
写真、音楽、文学
自己紹介:
Koichi NOMi と申します
東京在住の写真好きです

女の子ポートレイトを中心に
街やらライブやら
色んなものを写して
表現して楽しんでゐます
皆さま
どうぞよろしくお願ひ致します
(*^▽^*)/

フランスの写真家
ギイ・ブルダンが大好きです
(Guy Bourdin, 1928-1991)
Guy Bourdin: A fetish for fashion
明快な細部と曖昧な物語性
大胆な構図と緻密な状況設定
そして色
どこをとつても素晴しい!

私も
どうせ写真を撮るなら
彼のやうな作品が撮りたいな
とは思ふのですが
ちよつと道のりは遠いかな
(苦笑)

このブログへのコメント
リンクは
すべてお気軽にどうぞ
特に写真と音楽の好きな方なら
大歓迎です
(*^▽^*)

文字表記は旧仮名

青文字は外部リンク

メールはこちら
ttn18gray@outlook.com

もうひとつのブログは
こちら

記事と画像の
無断複製・無断使用は
固くお断りします。
これまでの記事
アクセス解析