趣味の写真とのんきなお喋り
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JR東日本の「大人の休日倶楽部」のCM(善光寺篇)を見るたびに気になることがあるんです。

一眼レフカメラ(あれ、ニコンのD60ですよね)を持つて旅に出た吉永さん、長野市内であちこちスナップを楽しんでゐるやうですけれど、偶然すれちがつた土地の小学生を撮つて、問題にならないのかしら……と、思つた瞬間に答へが出ます。
はい、問題になりません。

しかしこれが都会だと“子供を撮つてどうする気ですか?”と、質問ではなく、詰問されさう……ですけれど、都会か地方かといふことも関係ありません。

関係があるのは、たぶん、吉永さんが女性だといふことです。

と書くと、女優が女性なのは当り前ではないかと言はれさうなので、あはてて書き加へます。

今、街中でのスナップ撮影はずいぶんとやりにくくなつたと言はれてゐます。そして、そのやりにくさの中心には、みなさんご存じの「肖像権」問題がある。やや大袈裟に言へば、街中をカメラ抱へて撮影して歩くなんて、盗撮行為とさして変らぬフザケタ行為だ、とみなす風潮が実際にある。

ああ、世知辛い世の中になつたのう、と、嘆きつつも、私は考へました。

たぶん、CMの中の吉永さんの撮影行為を見て「ケシカラン」と怒り出す石頭は少ないだらうなと。4カット目に挿入される小学生たちの写真を見て、昨今の風潮を考へればフィクションとは言へどもかやうなシチュエーションをCMといふかたちでお茶の間に届けるとはいかがなものか、だなんてクレームをつける一言居士も、皆無ではなからうが、極めて少数だらうなと。

なぜか。

撮影者が(品がよく、見た目も美しい)女性であるため、その行為は、盗撮といふ性犯罪を即座に連想させる言葉とはあまり結び付かないだらうからです。

街中スナップ・イコール・肖像権の侵害と声高になされる主張の背景に、連想される性犯罪への嫌悪感があることは否めないでせう。“人の写真を撮つてどうする気か?”といふ詰問口調の裏には、猥褻な目的に自分ないし近親者の肖像が使はれてはたまつたものではないといふ意識があるでせう、きつと。

そして、性犯罪による逮捕者は男の方が多い。
そして、街中でスナップ撮影を行つてゐる人間も、男が多い。
むろんその男女比なんて誰にも分らないが(正確な統計資料などあるまい)、ポートレート撮影の被写体のほとんどが女である以上、「反対に、撮るのは男」といふ図式がほぼ自動的に出来上がり、そしてそれは、いちいち口に出して言ふまでもない常識として人びとに認知されてゐることでせう(そもそも、カメラは昔から「男の趣味」とされてゐましたし)。

ですから、男によるスナップ撮影行為への嫌悪感は、強まりこそすれ弱まることはないでせうね。
そして、この種の撮影行為への嫌悪感もしくは忌避感は、疑問の念といふかたちをとつて、薄まりながらも広く世間の共有感覚へと昇格していつてゐるやうに、私には思はれてなりません(例へば、祭のオブジェでさへも撮影の際には許可が要ると思ひ込んでゐる人に、私は出くはしたことがある。ショックだつた)。やがていつかは、女によるスナップも疎まれるでせうね。

スナップ撮影を試みる側が、いくら憲法の条文を盾に「表現の自由」を主張しても、問答無用で撮影を拒否する空気が、ちかぢか世に行き渡るでせう。そしてその空気の中では、いづれはスナップ撮影そのものが、拒否に会ふ以前に、当然の如く否定されて、そして消えてゆくでせう。

JR東日本のあのCMは、もしかしたらさう遠くはない将来に、「かつての風俗習慣を映し出した貴重な例」として、どこかの博物館か資料館に収蔵されることになるかも知れません。

もちろん私はそんな将来は願ひ下げだ。
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支配人プロフィール
HN:
NOMi Koichi
年齢:
51
性別:
男性
誕生日:
1965/07/09
趣味:
写真、音楽、文学
自己紹介:
Koichi NOMi と申します
東京在住の写真好きです

女の子ポートレイトを中心に
街やらライブやら
色んなものを写して
表現して楽しんでゐます
皆さま
どうぞよろしくお願ひ致します
(*^▽^*)/

フランスの写真家
ギイ・ブルダンが大好きです
(Guy Bourdin, 1928-1991)
Guy Bourdin: A fetish for fashion
明快な細部と曖昧な物語性
大胆な構図と緻密な状況設定
そして色
どこをとつても素晴しい!

私も
どうせ写真を撮るなら
彼のやうな作品が撮りたいな
とは思ふのですが
ちよつと道のりは遠いかな
(苦笑)

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